b型肝炎ワクチンの種類とその違い

普段何気なく接種しているワクチンですが、実は同じワクチンでも複数の種類があります。b型肝炎ワクチンも同様で、病院に行ったりインターネットで検索したりすると、いくつもの品名を目にします。同じ病気を予防するワクチンに、なぜいくつもの種類があるのでしょうか。

また、種類によってどのような違いがあるのでしょうか。

b型肝炎ワクチンの種類

b型肝炎に限らず、全てのワクチンは国内承認ワクチンと国内非承認ワクチンの2つに大別できます。2つの大きな違いは厚生労働省に承認されているか、いないかです。日本では、ワクチンなどの医薬品は厚生労働省の審査によって承認されたものが流通し、医療現場等で使用されます。

承認されていれば医療保険の適用対象となり、費用が一部負担となるほか、副反応や副作用、後遺症などの健康被害が起きた場合に国の救済を受ける事ができます。一方、承認されていないものの場合、医療保険の適用対象外となるため全額負担となり、健康被害が起きた場合の救済措置も対象外になります。

無論、日本国内で承認されていないだけで海外では広く承認されているものなので、効果や安全性などに大きな差はありません。b型肝炎ワクチンの場合、2018年時点ではビームゲンとヘプタバックスという2種類のワクチンが厚生労働省によって承認されています。

通常病院等で接種できるのはこのどちらかであり、b型肝炎ワクチンは定期接種に指定されているため、1歳未満の子供でB型肝炎ウイルス母子感染予防事業の対象でなければ、公費負担で接種することができます(大人や海外渡航時等の場合は費用がかかります)。

これ以外にもb型肝炎ワクチンは多数の種類がありますが、それらは海外製の国内非承認ワクチンになり、個人輸入している病院などで接種することができます。

ビームゲン

ビームゲンは化学及血清療法研究所(化血研)が製造する、b型肝炎ワクチンでは唯一の純国内産ワクチンです。遺伝子組み換え技術を応用し、酵母から作り出したウイルスの抗原を使用した、「組み換え沈降」という手法で作られた酵母由来のワクチンで、世界で初めて開発された「(ウイルス由来の)がんを予防するワクチン」でもあります。

国内では最も広く流通していて、このワクチン1種類で8種類の遺伝子タイプのb型肝炎ウイルスに対して、抗体を作る事ができます。幅広い遺伝子タイプに対応できる事が確認されており、国産ということもあって、信頼度の高い種類です。

通常、まず使用される基本のワクチンがこのビームゲンであり、多くの病院ではまずこの種類のワクチンが使用されます。国内で確認されている遺伝子タイプのb型肝炎ウイルスであればほぼ確実に予防する事ができ、副反応も少なく、安全性の高いワクチンです。

国内産で流通が安定しているというのも強みの一つで、他の種類のb型肝炎ワクチンにはない特徴といえます。ただし、ビームゲンは日本国内でのみ承認されている種類のため、海外でのb型肝炎ワクチン接種が決まっている場合など、海外産ワクチンとの互換性等の理由(互換性はあるとされていますが、検証は行われていないため)から、推奨されない場合もあります。


ヘプタバックス

ビームゲンと並んで日本国内で承認されているb型肝炎ワクチンが、万有製薬が販売しているヘプタバックスです。製造しているのはメルク社という米国の企業で、輸入ワクチンになります。製造方法はビームゲンと同じ組み換え沈降式の酵母由来ワクチンですが、抗原の生成に使うウイルスの遺伝子タイプがビームゲンとは異なっており、ワクチンが対応するウイルスの基本的な遺伝子タイプは、ビームゲンと異なっています(といっても、こちらも複数の遺伝子タイプに効果がある事が確認されています)。

ヘプタバックスは主に、ビームゲンでうまく抗体が出来なかった場合に、ワクチンの種類を変更する第2選択として使用されます。また、そもそも海外製であり他の海外製ワクチンとの互換性が確認されていることから、海外への転勤や移住などで、海外でb型肝炎の追加接種を行う事が決まっている場合は、こちらが勧められます。

輸入品のため、流通量の安定性はビームゲンに比べてやや落ちますが、効果や安全性に関してはビームゲンとの間に明確な差はありません。

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日本未承認のb型肝炎ワクチン

この他にも、海外では多くの種類のb型肝炎ワクチンが作られています。日本では承認されていませんが、製造されている国を中心とした海外では広く使用されています。日本国内でも使用する事は可能ですが、個人輸入またはその病院の判断で輸入した物になるので、定期接種の対象であっても公費負担が効かず、万一健康被害が発生した場合の救済を受ける事もできないため、留意して使用する必要があります。

これらの種類のワクチンは、海外渡航者向けの接種を行っている医療機関などで、接種する事ができます。国内非承認ワクチンと日本国内で承認されているワクチンの大きな違いには、同じ薬液中に含まれる抗原の量(濃度)、製造方法の違い、他ワクチンとの混合型である、等があります。

例えばベルギー製のEngerix-Bは国内で承認されているものより抗原の量が多く強い効果と持続性を持ちます。フランス製のGenhevac Bや韓国製のHepavax Bはそれぞれ細胞や血漿から抗原を作るタイプのワクチンです。

混合型は別な病気のワクチンと混ぜ合わせたもので、例えばベルギー製のtwinrixはb型肝炎ワクチンとa型肝炎ワクチンを混合したワクチンです。他にも、Hibワクチンと混合した種類や、DPTワクチンと混合した種類もあります。

途中で種類を変えても大丈夫なの?

ワクチンの流通量は変動するため、その流通量によっては、決められた回数の接種の途中で、使用していた種類のワクチンから別の種類のワクチンに変更して接種する事があります。上に書いた通り、国内で承認されている2種類のワクチンは、使用しているウイルスの遺伝子タイプが異なるなどの違いがあるため、途中で変更しても大丈夫かどうかという疑問がでてきます。

これについては、厚生科学審議会で議論された結果、国内承認されている2種のワクチンに関しては、途中でもう一方の種類に変更しても、効果は変わらない事が確認されています。

可能な限り同じ種類で規定回数の接種を行う事が望ましいですが、途中で種類を変更しても特に問題はないようです。

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